2022年6月26日日曜日

小太郎と小百合

 母の実家に古い本がたくさんあった。漱石など文学作品が並ぶ小さい図書室みたいな部屋があって、小学生のときからツルゲーネフの翻訳など読んだり、漱石は中学のときにほとんど読んだ。しかし納戸に雑多な本や雑誌が積まれてもいた。そのなかに「小太郎と小百合」という絵本(?)があった。白馬の夢を見て、朝枕元に白い百合が置いてあると、その人は死ぬ、という出だしであった。その後の話は全然覚えていなかった。元々怖がりな子供にとって、この冒頭はとても怖くて夜が恐ろしかった。その後長く忘れていたが、なぜか大学でフランス語を専攻した友人とこの物語の話になって、彼女によるとアナトール・フランスの影響を受けたとか元があるとかいうことだった。詳しいことは忘れた。その後また長く忘れていたが、数年前にまた思い出して検索してみたが、見つからなかった。そしてまた数日前に突然思い出して検索したら、今度は国会図書館デジタルコレクションに収納されていた。それは絵本ではなく99ページの本である。著者名も初めて知った。さっそく読んでいる。童話であっても文章が丁寧だ。旧仮名遣いでも瞬時に置き換えできるから、つまずくこともない。なんだかほっとした。


1 件のコメント:

shayashi さんのコメント...

これ全然知らなかった…