満月の夜は曇りであったが、その前日と十六夜は空気が澄んで、空が高く黒く、月が滑らかに光っていた。兎の餅つきもはっきり見えた(?!)。最近火星が大きい。
お彼岸の日までには白ヒガンバナがほとんど萎れていた。近所の紅白のヒガンバナも同じようだ。その間に巨大なクロアゲハが悠々と庭の木の間を舞うことがあった。後翅に白い紋がある。検索してみると、「モンキアゲハ」の雄だそうだ。何故「モンキ」なのだろう。日本最大のアゲハということだ。実際ともかく大きかった。
朝「スマホと眼鏡持って上がってきて」と2階から声がかかった。急いで行ってみると、網戸にカマキリがしがみついている。いつもながらきれいな緑だ。スマホで少し上向きに撮ると、宇宙船が空にいるような感じに写る。その後巨大がクロアゲハが白ヒガンバナから柚子の枝に移って何度も止まった。産卵のためらしい。芋虫になったら柚子の葉は食べつくされそうだ。ガラス戸を開けて見ていたら、急にこちらに向かってきた。すぐに方向転換したが、あまりの重量感に一瞬避けようとしてしまった。それくらい迫力がある。キアゲハも2匹。虫柱が立っていたせいか、燕がたくさん旋回していた。庭のミンミンゼミが、御年を召したのか、しゃがれ声でゆっくりと鳴いていたが、最後まで続かずに息切れしているようだった。「うちの庭はノッパラだね」とパートナーが言うとおり、草や虫や、何が生えて何が起こるか分からない。もしかして絶滅危惧種の草があるかもしれない。最近は珍しいという日本タンポポは毎年咲く。小学生の自然観察に良いかもしれない。
半年かもっと前か、テレビをつけたら時代劇の番組だった。その題名も知らないし、数分見ただけだが、浪人(?)が物思いに沈んで歩く場面で音楽が流れた。それは良く知っている曲で、頭の中では正確にメロディーを再現できる。とことがその瞬間に曲名と作曲者名が浮かばなかった。度忘れというのは空間的にも時間的にも伝播する。誰かがある地名をふと忘れると、周りの人たちも思い出せなかったりする。このメロディーについては、その後度々頭の中で響くのだが、曲名と作曲者名は思い出せない。バロック音楽だろうとは思う。歌えればパートナーに教えてもらえるだろうが、声に出すと全然違う音程になってしまう。で、数週間前に突然何の脈絡もなく、「アルビノーニ」と浮かんだのである。続いて「アダージオ」とも。YouTubeで確かめた。その後はこのメロディーがいきなり響くことはなくなった。人の脳とは面白いものである。
ところで、この曲、実は20世紀半ばにRemo Giazottoという音楽評論家が作曲したものだそうである。良く知られていることらしい。
白ヒガンバナが2輪咲いた。曇り空の下を明るくしてくれる。シュウメイギクも1輪咲いた。輪切りにしたゆで卵のようだ。
毎年夏に翅蟻の襲来を受ける。夕食時に突然気がつくのである。慌ててテーブルを動かしたり食べ物の中を点検したり、大騒ぎである。網戸をすり抜けて来るのだろうか。とにかく明るくて白いところが大好き。小さくて薄いベージュ色なので、最初は気づかないのである。今年は翅蟻なしに9月になったな、と思っていたら、まさに今日がその日だった。今日は食事後に気がついたのだが、すでに食べ物の中にいたかもしれない。ガラス戸を閉めて、掃除機で吸い取って、ようやく落ち着いた。
白ヒガンバナのシュートがもう出ている。お彼岸より20日も早かった。