夕方突然ものすごい夕立。雹が屋根に当たってピチピチと音を立てる。その前に合歓の蜜を求めて飛び回っていたクロアゲハが、風雨で大揺れする枝にしがみついていた。その揺れ方が半端ではない。そのうち雨宿りのつもりか移動して、桃の葉にしがみついた。翅を乾かすためか、翅を広げたままだ。大きさが良くわかる。立派な姿。パートナーが写真を撮ってくれたが、それで見ると羽根に青い筋が数本ある。そこが皺のようになっている。それにしてもあの小さな身体でこの強烈な雨を耐えられるのだろうか。「蝶は長距離を飛ぶこともあって、災害にも合うのだから、大丈夫だ」と言われても、おろおろしてしまった。その後草の上に移動し、さらに別の木の枝に移動して、そこでひたすらじっとしていた。1時間くらいだろうか。突然驟雨はおさまり、まだ雨が降っている間に日が差した。雨の後はいつも草や枝に雫がついて、光の加減で様々な色に光る。枝につらなる雫はネックレスのようだ。そして東の空に薄い虹が出た。ずいぐん久しぶりだ。以前はよく虹を見たものなのだが。ガラス戸を開けるとひんやりとした空気が入ってくる。ただ涼しいというのでなく、何とも言えない心地よさだ。その後もアゲハはじっとしている。「今夜はあそこで寝るんだろう」とパートナーの言。朝にはもう飛び立っているんだろうな。
夜は雲の間に丸い月が輝いていた。